劇薬と麻薬

ある男が久しぶりに友達と出会った。

男は日頃から自分の不調を訴え、苦しいと周りにこぼしていた。

友達はその話を聞き、なんとか男の手助けが出来ないものかと考えた。

友達の一人が言った

『俺は、飲むと苦痛を伴うが身体が改善出来るであろう劇薬を知っている。治療は辛く心身ともにダメージを受けるかもしれないが今後のためにも劇薬を試すべきだ』

と言った。

すると違う友達が

『いやいや今、彼に必要なのは苦痛を緩和してやることだ。これ以上の痛みを与えるのは反対だ。それにその劇薬で改善されなければどうする?必ず治るという保証はないのだろう?だったら劇薬など使うべきではない。痛みを緩和させるために麻薬を与えてはどうか?』

と言った。

先の友達が

『いやいや彼はもう若くはない。いち早く改善に取り組むべきだ!緩和など一時凌ぎ過ぎない。根本的なところは何も解決しない気休めにしかならない。』

また友達が

『そうかもしれないが今はとにかく休ませるべきだ!彼が劇薬の痛みに耐えられるかもわからない。今は優しくしてやらうではないか』

また違う友達が

『いったん薬は与えずに水を与えて落ち着かせてみてはどうか?』

いろいろな意見が出るなか、男は話も聞かずただしんどそうに遠くをみていた。

友達は疲れてしまいそれぞれめいめい家へ帰っていきました。

また違う友達がそれを見て、

『あのね、みんなが君のことを心配してくれているよ。でも君のことは君にしか決められないんだよ。もし君が干渉されたくなく放っておいてくれというのなら元気に振る舞ってほしい。そうすると誰も君に薬を勧めたりするようなお節介はしないだろう。でももしも君が助けを求めているのなら僕たちの話をちゃんと聞いてほしい。君にとって耳の痛いことを言うこともあるだろうし、傷付けたりするかもしれない。でも忘れないでほしいのは僕たちは君のことが好きで、君を元気付けたいと思ってることから始まっているということだよ。』

そう男に伝えようと思いましたが男は立ち上り帰ってしまいました。

友達は一人、その場所で空を見上げました。ただ空を見上げて。